(派遣先の責務⑥)派遣先責任者の選任
派遣先は、派遣就業に関し(3)の事項を行わせるために、派遣先責任者を選任しなければなりません(労働者派遣法第41条)。
(1)派遣先責任者の適切な選任及び適切な業務の遂行
派遣先は、派遣先責任者の選任にあたっては、労働関係法令に関する知識を有する者であること、人事・労務管理等について専門的な知識又は相当期間の経験を有する者であること、派遣労働者の就業に係る事項に関する一定の決定、変更を行い得る権限を有する者であることなど、派遣先責任者の職務を的確に遂行することができる者を選任するよう努める必要があります。
(2)派遣先責任者の選任の方法
派遣先責任者は次の方法によって選任しなければなりません。
① 事業所その他派遣就業の場所ごとに専属の派遣先責任者として自己の雇用する労働者の中から選任する必要があります。
なお、派遣先責任者は、派遣元責任者と同様、株式会社や有限会社の監査役は選任できません。
② 事業所等における派遣労働者の数について1人以上100人以下を1単位とし、1単位につき1人以上ずつ選任しなければなりません。
ただし、事業所等における派遣労働者の数と派遣先が雇用する労働者の数をあわせた人数が5人以下のときは選任する必要はありません。
製造業務専門派遣先責任者の選任
製造業務に派遣労働者を従事させる事業所等は、製造業務に従事させる派遣労働者の人数について1人以上100人以下を1単位とし、1単位につき1人以上ずつ、製造業務に従事させる派遣労働者を専門に担当する者(以下、「製造業務専門派遣先責任者」といいます。)を、選任しなければなりません。
なお、事業所等における製造業務に従事させる派遣労働者の数が50人以下の事業所等については、製造業務専門派遣先責任者を選任する必要はありません(この場合、通常の派遣先責任者が製造業務に従事させる派遣労働者を含めて担当します。)。
ただし、製造業務専門派遣先責任者のうち1人は、製造業務に従事させない派遣労働者(それ以外の業務へ労働者派遣された派遣労働者)を併せて担当することができます。
また、製造業務に従事させる派遣労働者と製造業務に付随する製造業務以外の業務に従事させる派遣労働者を、同一の派遣先責任者が担当することが、その製造業務に付随する製造業務以外の業務に従事させる派遣労働者の安全衛生の確保のために必要な場合は、製造業務に従事させる派遣労働者と製造業務に付随する製造業務以外の業務に従事させる派遣労働者の合計数が100人を超えない範囲内で、製造業務専門派遣先責任者に、製造業務に付随する製造業務以外の業務に従事させる派遣労働者を併せて担当させることができます。
例えば、派遣先における全派遣労働者300人のうち、製造業務へ派遣されている派遣労働者が40人、製造業務以外の業務へ派遣されている派遣労働者が260人の場合、製造業務専門派遣先責任者を選任する必要はありません(通常の派遣先責任者3名で足ります。)。
あと、派遣先における全派遣労働者300人のうち、製造業務へ派遣されている派遣労働者が150人、製造業務以外の業務へ派遣されている派遣労働者が150人の場合は、製造業務専門派遣先責任者を2人(うち1人は製造業務以外の業務へ派遣されている派遣労働者を併せて担当することができます。)、製造業務以外の業務に従事する派遣労働者を担当する派遣先責任者を2人(製造業務専門派遣先責任者のうち1人が、製造業務以外の業務に従事する派遣労働者を併せて担当する場合は、1人)を選任する必要があります。
(3)派遣先責任者の職務
派遣先責任者は、次の職務を行う必要があります。
① 次の事項の内容を、派遣労働者の業務の遂行を指揮命令する職務上の地位にある者その他の関係者に周知すること。
この場合、「派遣労働者の業務の遂行を指揮命令する職務上の地位にある者」とは、派遣労働者を直接指揮命令する者だけでなく、派遣労働者の就業の在り方を左右する地位に立つ者すべてを含みます。また、「その他の関係者」とは、派遣労働者の就業に関わりのあるすべての者をいいます。
- 労働者派遣法と労働者派遣法第3章第4節の労働基準法等の適用に関する特例等によって適用される法律の規定(これらの規定に基づく命令の規定を含みます。)
- その派遣労働者に関する労働者派遣法第39条に規定する
労働者派遣契約の定め - その派遣労働者に関する
派遣元事業主からの通知
②
(派遣先の責務3)派遣受入期間の制限の適切な運用の(4)の派遣受入期間の変更通知に関すること。
③
派遣先管理台帳の作成、記録、保存及び記載事項の通知に関すること。
④ その派遣労働者から申出を受けた
(派遣先の責務2)適正な派遣就業の確保の(1)の苦情の処理に当たること。
⑤ 安全衛生に関すること。
派遣労働者の安全衛生に関して、派遣先において労働者の安全衛生に関する業務を統括する者と派遣元事業主と必要な連絡調整を行うこと。
具体的には、以下の内容に係る連絡調整を行うこと。
- 健康診断(一般定期健康診断、有害業務従事者に対する特別な健康診断等)の実施に関する事項(時期、内容、有所見の場合の就業場所の変更等の措置)
- 安全衛生教育(雇入れ時の安全衛生教育、作業内容変更時の安全衛生教育、特別教育、職長等教育等)に関する事項(時期、内容、実施責任者等)
- 労働者派遣契約で定めた安全衛生に関する事項の実施状況の確認
- 事故等が発生した場合の内容・対応状況の確認
なお、「労働者の安全衛生に関する業務を統括する者」とは、労働安全衛生法における安全管理者、衛生管理者、総括安全衛生管理者が選任されているときは、その者をいいます。また、小規模事業場で、これらの者が選任されていないときは、事業主自身を指します。
⑥ 上記に掲げるもののほか、派遣元事業主との連絡調整に関すること。
具体的には、派遣元責任者との間において、④と⑤のほか派遣就業に伴って生じた問題の解決を図っていくこと。
違反の場合
派遣先責任者を選任しなかった場合又は所定の方法によって派遣先責任者を選任しなかった場合は、労働者派遣法第61条第3号に該当し、30万円以下の罰金に処せられる場合があります。

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