(派遣元の責務①)派遣労働者等の福祉の増進のための措置
派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者又は派遣労働者として雇用しようとする労働者について、各人の希望及び能力に応じた就業の機会及び教育訓練の機会の確保、労働条件の向上その他雇用の安定を図るために必要な措置を講ずることによって、これらの者の福祉の増進を図るように努めなければなりません(労働者派遣法第30条)。
ここで、 「派遣労働者として雇用しようとする労働者」とは、労働者派遣の対象となるものとして将来雇用しようとする労働者をいいます。
具体的には、いわゆる登録型で労働者派遣事業が行われる場合の登録状態にある労働者が考えられます。
したがって、派遣元事業主は、現に雇用している労働者だけではなく、登録中の労働者等派遣労働者として雇用しようとする労働者についても、福祉の増進を図るよう努めなければなりません。
「各人の希望及び能力に応じた就業の機会の確保」とは、個々の労働者の適正や能力を勘案して、これに最も適合し、かつ、その労働者の就業ニーズ、就業する期間、日、1日における就業時間、就業場所、派遣先の職場環境について、その希望に適合するような就業機会の確保のことです。
「教育訓練の機会の確保」とは、職業能力開発促進法第4条第1項の規定を満たすだけではなく、労働者の就業機会を確保するのに適した教育訓練の機会を確保することです。
例えば、派遣元事業主が許可を受けようとする際に提出する事業計画書中の教育訓練に関する計画に基づいて、適切に教育訓練を実施することがあります。
「労働条件の向上その他雇用の安定を図るために必要な措置」とは、賃金、労働時間、安全衛生、災害補償等労働者の職場における待遇である労働条件について、よりよい条件の下における労働者の就業機会の確保、社会保険、労働保険の適用の促進、福利厚生施設の充実等に努めることです。
「労働者派遣に係る業務を円滑に遂行する上で有用な物品の貸与や教育訓練の実施等」とは、例えば、OA機器操作を円滑に行うための周辺機器の貸与や、着衣への汚れを防止するための衣服、手袋等の支給、業務を迅速に進めるための研修の受講等、様々なものが考えられます。
派遣元事業主は、派遣先に対し、派遣労働者と同種の業務に従事している労働者等の福利厚生等の実状について情報提供を求めること、派遣労働者に要望を聴取すること等を通じて実状を把握し、必要な措置を講ずるよう努めなければなりません。
派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針
「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」には、派遣労働者の福祉の増進に関して、次のような内容が盛り込まれています。
8 派遣労働者の福祉の増進
(1) 福利厚生等の措置に係る派遣先の労働者との均衡に配慮した取扱い
派遣元事業主は、労働者派遣に係る業務を円滑に遂行する上で有用な物品の貸与や教育訓練の実施等をはじめとする派遣労働者の福利厚生等の措置について、必要に応じ派遣先に雇用され派遣労働者と同種の業務に従事している労働者等の福利厚生等の実状を把握し、当該派遣先において雇用されている労働者との均衡に配慮して必要な措置を講ずるよう努めること。
(2) 派遣労働者の適性、能力、希望等に適合する就業機会の確保等
派遣元事業主は、派遣労働者又は派遣労働者として雇用しようとする労働者について、当該労働者の適性、能力等を勘案して、最も適合した就業の機会の確保を図るとともに、就業する期間、日、就業時間、就業場所、派遣先における就業環境等について当該労働者の希望と適合するような就業機会を確保するよう努めなければならないこと。また、派遣労働者はその有する知識、技術、経験等を活かして就業機会を得ていることにかんがみ、派遣元事業主は、就業機会と密接に関連する教育訓練の機会を確保するように努めなければならないこと。

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